「忘れられたベストセラー作家」本を買い取りました。
忘れられたベストセラー作家
小谷野敦
買取価格 504円
最近昭和歌謡が若い人たちや海外の人に受けているというTV番組を見ました。
松田聖子あたりかと思って見ていたら、もっと前の桜田淳子や山口百恵…なんだこのバックトゥザフューチャー感!
カラオケで昭和歌謡を歌うのも流行っているとの事…何が流行るかまるでわからない今日この頃です。
同じような現象は本でいうと吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」がベストセラー!
今の世代にも読んでもらえる本というのは幸せだなぁと思います。
で読んで見たのが本書、お札になったり教科書に載ったりしている人の本は読む機会はありましたが、本書の登場するベストセラーでも読んでいないのがほとんどでした。
例えば尾崎紅葉の「金色夜叉」。
貧しい学生貫一と付き合っていたお宮という女性が富豪に求婚され、そちらに傾き修羅場になるという筋ですが、筋はなんとなく知っていましたが、これは読売新聞に断続的に連載されていたもので途中、尾崎紅葉の胃ガンによって連載も打ち切られ、話も中断したまま著者は無くなってしまうという、読者置き去りの状態。しかし門下生であった小栗風葉が結末までを書いたため無事完結と相成ったわけです。
熱海の海岸には貫一がお宮を蹴飛ばす銅像があるらしいですが、今であればDVのモニュメントで問題になってしまったかもしれませんね。
「ベストセラー作家になった者が、その地位から転落するということは、あまりない。だが、一度ベストセラーを出したからといって、その後出す本も売れるとは限らない。」本書より
漱石から戦前・戦後のベストセラーまで辛口の文芸批評が心地よい本です。