「祝葬」本を買い取りました。
祝葬
久坂部 羊
買取価格 699円
日本人の平均寿命が女性87歳、男性80歳、毎年過去最高を更新中です。
同じ日本の中でも市町村別で平均を出すと10年の差があるという発表が先日もニュースで耳にしました。
国によっては未だに40歳を超えないところもあるようです。(単に長生きできないというという訳ではなく、乳幼児の死亡率の影響が大きいという事も関係してくるのですが…)
タイトルにある「祝」の文字、代々、信州を地盤とする医師家系に生まれた土岐祐介が主人公に語った言葉は「もし、君が僕の葬式に来てくれるようなことになったら、そのときは僕を祝福してくれ」
「早死にの呪い」がかかっている一族の奇妙な物語が三世代にわたり紡がれていきますが、その糸は絡まりに絡まって…医療ミステリーのようなものかと思い読み始めたら、もっと恐ろしい未来を描いたような「忌寿」という作品が最後に控えていました。SFであれば怖くないのですが、あまりに近いような未来が…「未」の文字には希望のようなポジティブな気持ちが感じられますが、ここで描かれるものは「死ぬ事ができない」というネガティブなもの。
最後に早死には呪いではないのではないかという…帯のコピーにも納得してしまいそうになりました。
がん治療に関しての短編もあり、何としてもがん細胞を取り切るような治療方法や温存方法、果ては怪しげな民間両方まで…当の患者は置き去りになりがちな医療方針や医療裁判を恐れてのたらい回しなどなど…
誰もがなりたくてなる病気ではありませんが、色々と考えされられた本書でした。
←「「忘れられたベストセラー作家」本を買い取りました。」前の記事へ 次の記事へ「埼玉県三郷市の古本屋さん。」→