「小高へ」本を買い取りました。
小高へ
島尾伸三
買取価格 630円
昨年満島ひかり・永山絢斗主演で話題になった映画「海辺の生と死」。原作は島尾敏雄「死の棘」でした。
本作を読む前に梯久美子さんの「狂うひと」を読んでしまったので本作にはなかなか手を出せず、長男カメラマンでもある島尾伸三さんのこれを先に読んでしまいました。(「狂うひと」は奥様の島尾ミホさんを取材したノンフィクションです、「死の棘」の引用が多いのでほとんど読んだような気になりました)
ざっくりと「死の棘」…島の小学校の先生であった娘と特攻隊隊長の主人公の恋愛から壮絶なる結婚生活を描いたもの。夫の浮気から心因性の精神病になってしまう妻と服従する夫、朝も夜も関係なく行われる夫婦喧嘩とそれをみている幼い兄妹、やがて妹は歩くことも言葉を発することもできなくなっていくのでした。
小高は福島県南相馬市の地名、市町村合併前は小高町でした。先の震災の時には原発事故で全区域が避難指示を受けたところなので、ニュースでは「小高区」の名称でよく聞いた地名です。
平将門に由来のある「相馬野馬追」という行事も最近では完全復活しました。
その小高は島尾敏雄の生家のあるところ、父親との旅、妻や娘(現在漫画家しまおまほさん)のとの旅、などの軽いエッセイかと思いきや…文自体は軽いのですが、ここでも存在の大きすぎる母親の島尾ミホの影が立ちはだかります。もう夫婦だけの話ではなくてミホさんが原因の「家族病」みたいなものになってしまっています。
続編「小岩へ」も初夏に刊行予定とのことです。
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