「おまじない」本を買い取りました。
おまじない (単行本)
西 加奈子
買取価格 295円
久しぶりの西加奈子さんの短編集。
さまざまな人生の転機に思い悩む女子たちの背中をそっと押してくれる魔法のひとこと(本書帯より)
女子限定では無いけれど、まさにその通り!
カバーや挿絵は全て西さんが描いたもの、そしてなぜか奥付の後ろに数えたら7ページの白紙が付いているのは?何かを書いたり、描いたりするためのスペースなのかな?と思ったのは多分私だけでは無いはず。ちょっと嬉しい空白です。
以前の作品のイメージは大阪弁満載という感じだったのですが、本書はその風味は隠してあるものの、やはり登場人物はどこにもいそうな人たち。日常を切り取って煮詰めて掘り下げるとこういう短編に圧縮されるのだなぁと西さんの観察眼と表現力に脱帽。そして西さんの描く絵のパワーに元気をもらいました。
いい父親、いいお祖父ちゃん、いい孫であろうとして息が詰まりそうになる二人を描いた「孫係」
複雑な家庭環境で育つハーフの女の子から見た実母と祖母、そして育ててくれたひいおばあちゃん。対局の位置にいる4人の個性溢れる女性たちが登場する「ドラゴン・スープレックス」(さすがプロレス好きの西さん、ついに藤波辰爾を登場させました)
美人でも美男でもなく、お酒を提供する場所でお笑い係をかって出る「あねご」(これは卑怯なくらいジワルやつ…どちらも切ない、でも優しい風がフッと吹くようなやつ)
8つの短編からなる本書、どこから読んでも魔法の言葉はきっと心に沁みるはずです。
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