文芸書、エッセイなど70冊を買取
本州最南端の町、串本町(和歌山県)に日本初の民間小型ロケットの発射場ができるというニュースを耳にしました。
「スペースポート紀伊」現在1号機打ち上げに向けて、見学場や駐車場の整備などがすすんでいるようです。
新型コロナの感染が収まったら、見に行ってみたい場所の一つとなりました。(マグロ、カツオ、伊勢海老が名物!串本ロケットサイダーも気になります)
子供の頃には夢のような事であった宇宙もどんどん身近になってきているのですね(´∀`)
さて先日の買取から一冊。
「太平洋食堂」柳広司著/小学館
帯にあったのが、皮肉とユーモアと反骨の傑士、大石誠之助、享年四十三
まずは読んでみようかと本を開いてみると…時代は明治、舞台は紀伊の国新宮。
名前も知らなかった大石誠之助でしたが、読みすすめる内に、その人柄にどんどん魅了されていきます。
医師をやってはいますが、貧乏な人からはお金はとらない、代わりにお金持ちからは少し多めに治療費をいただく…海外生活の経験を活かして西洋料理を作っては子どもたちにふるまったりと…とにかく大らかで細かい事は気にしない。寝る間があるのかというほど、講演会や翻訳もこなし、言いにくい事も皮肉とユーモアで切り抜ける…当然そういう事が気に入らない人たちも出てくるわけで…
幸徳秋水事件(大逆事件)をよく知らないとわかりにくいというか、この本でちゃんと幸徳秋水事件を知った気がします。(簡単にいうと、明治天皇の暗殺を企てたとして社会主義者・無政府主義者を逮捕し、多くの人が死刑判決となったもの)
第二次世界大戦後、関係資料が発見され大逆事件の内側が判明していくのですが、関係者の名誉が回復されるのはそれからだいぶ経ってから…2018年に新宮市議会が大石誠之助を名誉市民として認定。
奇しくも和歌山のニュースと本になりました。宇宙も広いけれど、明治の知らない事もたくさん…
勝者の歴史とは云うけれど、なかなかの黒い部分を読んだような心持ちになりました。