ニルヤの島/柴田勝家
2015年01月03日 category : <高価>古本買取情報 タグ: 補陀落
ニルヤの島 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)
柴田 勝家
買取価格 404円
年末から読み始めた第二回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
超難解SFの噂もありましたが、確かに超難解な部分もありました。
『死後の世界は無い』という宣言後の世界の話、舞台は近未来のミクロネシア大環橋(グレートサーカム)。
死ぬことは怖くない、天国も地獄もなく、死んだら人はどこへも行かない。
人は複製され続ける、ニューロンの塊。
葬儀という儀式も忘れられた未来。
選評にもありましたが、伊藤計劃の描く世界観にも似て、生体受容システム、コンピューターにやんわり縛られている部分なども「ハーモニー」を連想させられました。
そんなシステムがあっても、人は病気になり亡くなる事にはなんら変わりなく。
登場人物が少ない作品ですが、断片化された時系列と独特の文章に少々とまどいつつ年末年始と足掛け2年で読破。
死後の世界というのは誰も行って帰ってきたものがいないので、有るとも無いともいえないのですが、
こうはっきり「無い」と断定された世界というのは果たして幸福なのかどうかという事をいろいろ考えた次第。
読み応えたっぷり、次の作品にも大いに期待できます。
同時進行読書中の民俗学の本と併せてまたどこかで繋がっていくような予感がします。
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