阿蘭陀西鶴/朝井まかて
阿蘭陀西鶴
朝井 まかて
買取価格 294円
『恋歌』で第150回直木賞受賞後第一作書き下ろし作品です。
井原西鶴と云えば「好色一代男」とか「好色五人女」しか思いつかず、しかも未読。
タイトルからして見えないハードルがあるようで…
タイトルにある『阿蘭陀(おらんだ)』というニュアンスが周りと本人とのズレはあったようで、
西鶴本人にしてみれば「己こそ新風や、一流や」という意味合いを込めて阿蘭陀流を名乗っていたようです。
傍からみれば才能はあるものの、変わり者のイメージで、娘のおあいにしても、そんな父親がどことなくうっとおしい…早くに母親を亡くし、目が不自由であるにもかかわらず、料理に針仕事になんでもこなしてしますおあいちゃん。いつもどこか距離をおいて父親を見ている感があるのですが…
登場人物が少ない作品ですが、印象に残る人物ばかりで…特に役者の辰彌が気になりながら読み終えました。
たぐいまれな美貌ゆえに苦悩する辰彌、役者として成功しても気持ちは満ち足りる事無く…
見えないおあいに多大なる影響を与える人物になります。
時代小説にもいろいろなジャンルがありますが、市井モノでもあり、伝記の要素もあり、最後の一ページまでしっかり味わえる作品でした。
井原西鶴、「日本永代蔵」あたりから読んでみようとおもいます。
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