ボラード病/吉村萬壱
2015年04月04日 category : <高価>古本買取情報 タグ: ファシズム
ボラード病
吉村 萬壱
買取価格 298円
タイトルが妙に気になった本です。
『ボラード』とは船を岸壁などに繋ぎ止める杭の事、港には必ず黄色とか、もしくはペンキが剥げて錆びで赤くなったりした、腰掛けるにはちょうどいい大きさの柱みたいなものが何個か地面から付き出ています。
釣りに行く際は腰掛けるのによくお世話になっています。待っている時間がいかに長いかがわかりますね(T_T)
古い映画だと小林旭がマドロス(ちょっとかっこいい船乗りですね)の姿で足をのせているヤツといった方がわかりやすいでしょうか…
そんな名前の付いた病気がタイトル、小学5年生の恭子の独り語りで始ります。
舞台は架空のB県海塚市。神経質な(かなり病的)母親と二人で古い借家に恭子は住んでいます。
——以下本書帯より
生まれ育った町が忘れられず、人々は長い避難生活から海塚に戻ってきました。心を一つに強く結びあい、「海塚賛歌」を声を合わせて歌い、新鮮で安全な地元の魚を食べ、ずっと健康に暮らす事ができる故郷。
こんな町、本当にあるんですか?
3.11後さまざまな作品が出ましたが、飛び抜けたディストピア小説。
最後の最後まで引きつけられたまま読み、なおかつ最後の章ではかなりの衝撃を受けました。
今年読んだ純文学の中では秀逸!ダントツの一位です。
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