歩道橋の魔術師/呉明益 訳:天野健太郎
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)
呉明益 天野 健太郎
買取価格 907円
台湾(台北)にあった中華商場という3階建ての商業施設が舞台の連作集。
「忠・仁・愛・信・義・和・平」の名前の付いた8棟の建物、建物は歩道橋で繋がっていて、ここに住む子どもたちが主人公、そしてその歩道橋の上にいつもいる魔術師と中華商場がもうひとつの主人公。
舞台の中華商場は残念ながら、1992年に解体され、広い道路に変わってしまったとの事だったので、読後どのようなところだったか調べていたら、web上には画像や動画が沢山ありました。本編のなかでのイメージどおり!松下電器(現パナソニック)のネオンや、知らない漢字だらけのカンバン、ゴチャゴチャして、少し不衛生そうで、それでいてなにか食欲をそそるような匂いもして…湿っぽい雨の夜だったら若いハリソン・フォードがうどんを食べていそうな雰囲気。(映画「ブレードランナー」ですよね、見直す度に不思議日本語に気づきます)
書評で若手SF作家のように紹介されていましたが、宝箱をあけるような珠玉の短編集。
日本での出版はまだこれ1冊だけですが、次の発売が待ち遠しい作家さんの一人となりました。
手品師ではなく魔術師、心から信じないと呪文は言葉のままで魔術はかからない。
最近になく3回読み直しをしてみた本です。
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